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2013年03月26日

◆農業体験 アスパラ収穫と味噌作り体験

春うららかな筑後平野、れんげの田んぼやクリークがあり筑後の農村の原風景が残っている大木町の中島農産に福岡の農業応援ファミリーの皆さんがやってきました。
今日の農業農村体験はアスパラ収穫と調理、味噌作りです。



まずは中島農産、中島宗昭さんから農業への取り組み、アスパラの話しを聞きます。


*中島農産の合鴨米、長寿梅、合鴨米の米粉、健康豚ソーセージ、石臼小麦粉、万能だれ

大木町はあまおうやキノコなどの産地として知られているが、そのキノコの収穫後の菌床を豚舎に敷き詰め、糞尿と混ざったものを熟成させ堆肥作りを行っている。
アスパラ、イチゴ、ナス、桃、ぶどうなどの堆肥として年間600トンが使われ、それでも足りない程だ。
合鴨を使った米作り、循環センターで出来た液肥を使った米作りを行ってる。
道の駅おおきでは会社を立ち上げてレストランを運営している。
消費者の方達との交流にも力を入れていて、毎年11月頃の収穫祭には多くの人が訪れる。



今日収穫するアスパラについては、平成11年から取り組み始め自家堆肥で栽培し、県内でもトップの収量を上げている。
アスパラは地中海東部あたりが原産地と言われていて、大木町では2〜3月下旬の春芽、夏芽、秋芽と年に3回収穫出来る。
一番美味しいのが今日収穫してもらう春芽で、冬の間養分を溜め込んでいるのでとても甘い。



アスパラの採り方はハサミで根元から切り取るが、短い物は切らずに27cm前後のものがちょうど良い長さだ。小さい芽を踏まない様に、根ごと抜くと次は生えないので抜かない様に気をつけて採るなどの注意を受けてから2棟のハウスに入った。
中島陽子さんにアスパラは根元が固くても皮をピーラーで向けば柔らかいし、保存は立てたままにすると茎が曲がらずに保てる事なども教えてもらった。



その後は豚舎へ移動した。ここでは2200頭を肥育し6000頭以上を出荷している。地域資源活用でキノコの菌床に籾殻を混ぜて豚舎の床に敷き、子豚を入れる。糞尿は自然と吸収され浄化されるので匂いも少ない。
3ヶ月後の出荷後にそれを集めて更に熟成させ堆肥を作る。育てている3ヶ月間は糞尿をいっさい外へ出す事が無く、豚舎の管理も朝晩のチェックをする程で効率よく作業が出来る。



発酵作用で豚舎の床はオンドルの様に温かく、豚は鼻で土を掘り返す習性があるので自分たちで混ぜて切り返してくれるので自然と混ざり合って堆肥ができる。発酵熟成させた堆肥は農家用以外では道の駅で家庭菜園用に小口でも販売している。
このように地域にある廃菌床を活用し養豚を行うことで環境保全もでき、出来た堆肥は野菜作りに使われ、土に戻るという一連の流れとなっている優れた循環型農業を先駆的に行っている中島さんのお話は実際に現地で見てよく理解出来た。



お昼になり、アスパラの肉巻きを皆で作り、豚汁、キノコごはん、アスパラとキャベツの味噌和えとともにいただきました。



米も、味噌も豚肉も野菜もここで穫れた食材です。穫れたて、美味しい、そして安心して食べられる事は一番のごちそうなのだと実感した。



午後の味噌作りは、中島陽子さん率いるラディッシュの会(味噌蔵麹園)の皆さんに指導してもらう。
蒸し上がった大豆300gを手でしっかりと潰す。それに米麹600gを混ぜ、大豆の煮汁大さじ1を加えて雑菌が入らない様に袋の中でしっかり混合わせて作る。



出来た味噌を保存する容器は熱湯消毒した物を使い、味噌は押さえて空気を抜いておく。みそにラップを密着させ、消毒の意味でひと振りの塩を載せておく。容器のふたとして和紙をかぶせヒモで結び容器のふたを載せて保存する。
今日仕込んだ物は約3ヶ月熟成させ、6月中旬には熟成し美味しい米味噌が出来上がる。販売用には半年以上熟成させた物を出している。
この日使ったのは無農薬の合鴨米で作った米麹、味噌こしに残った米は柔らかくおいしいので一緒に食べると良いという説明にも納得した。
3ヶ月後に熟成するのが待ち遠しい。

現在中島さん達は7名のグループで味噌作りをしているが、発端は昭和63年に女性農業大学に入って学び、グループを作ったこと。青空市から始め直売所へと、農村女性の自立のためにと活動を広げていった。

消費者の方に冬場に「キュウリはありますか」と聞かれることがあるが、身体のためには季節の物、旬の物を食べることが大事だ。
日本の伝統食、発酵食品である味噌を作って20数年となるが、旬の物や地域の伝統食の良さを見つめ直して味わい、健康作りをしてほしいと願っているとのこと。



中島さんご夫妻から農と食への思いと地域資源循環型農業への取り組みを聞き、穫れたてのアスパラを味わった農業体験。
現地だからこそ見ることができ、味わうことが出来る貴重な体験となりました。
生産者の方に直接話しを聞き教えてもらうことで、筑後の農業と農産物への理解が深まることを目指して、今後も現地体験事業を進めて行きます。


お知らせ
今日は県のTV広報番組「福岡にリンク」の収録クルーも参加してのにぎやかな収穫体験となり、中島さんや子供達もインタビューを受けていました。
番組はTNCで4月7日8:55〜9:00に放映ですのでお見逃し無く。
  


Posted by りじ at 18:11Comments(0)農業体験講座

2013年03月22日

◆スローフード講座Vol.12 農事気象予測と作物生育予測 

桜満開の春の筑後から今年度最終回のスローフード講座をお届けします。

農事気象と作物生育予測についてお話するのは、イチゴやアスパラを始めとする農業指導と肥料販売、植物活性剤製造をおこなっている富松利夫さんです。
富松さんは常に新しいことに取り組んでいて今は焼酎粕液を活用した肥料作りなど資源循環型社会の形成について研究中です。
農業体験農園「笑顔農園」も運営し、自然栽培を目指して取り組んでいます。



また、活動として月(自然)のリズムを取り入れた農業指導を行い、生産者の方とともに農業に関わっています。
気象、月の周期と植物の生育については密接な関係があり、新月の頃植物は成長するが病気も出やすい。海中の珊瑚の産卵は必ず満月の頃に起こることはよく知られているが、満月の頃は生殖が活発となり虫の活動も活発となる。作物の定植には向かない。
産卵が満月頃に多くなるなら虫については満月から4〜5日後に害虫防除すると効果があり、これだと1ヶ月に1回の防除でも効果は大きい。病害予防は逆に新月頃を狙うと良い。



今月27日が満月だが、満月時には放射冷却が強く起き、春の遅霜が降りやすい。古くより「花冷え」という言い方がある。1昨年は3月下旬に寒が戻り、梨の花や茶にも影響が出たことがあった。
このように月の周期は動植物の生育に影響があり、太陽や金星の動きも同じ様に様々な影響がある。この他旧暦、中国古来よりの五行(木、日、土、金、水)という見方などを合わせて天候の傾向を読み取ることが出来る。
昨年は1月〜6月まで五行の「水」が続いていたが「山の木に船をつなぐようなこととなる」という昔の言い伝えのように昨夏の豪雨となって現れた。

1月〜2月の「寒試し」により1年の天候、風、雨、気圧などの傾向もわかる。
今年もかなり気象変動が起きやすく、春やや遅く遅霜もあり、初夏までは寒さも残り台風多くゲリラ的豪雨もある。6月は太陽と金星が交差するので不安定な天候になる。野菜を作る人は夏の後半、イチゴ、トマト、ナスの定植期頃、風雨に注意が必要だ。
又、夏の作物は夏の雨の温度で水やりを行うことが大事で、気温が22〜25度なら雨水は20〜22度となるので
水やりの温度も同じ様に上げてやる必要がある。特に室内の植物にはこの注意が必要だ。

今、三日月(*3月15日の講義時)で、植物の生育が活発となり病害が発生しやすくなっている。人も同じく体調不良になりやすいので、食事や健康管理に気をつけよう。
最後にプラスのイメージを持つと物事上手くいくことが多く、これは生活や考え方全てに言えると思う。周りの人に喜ばれる様に接すれば自分にもプラスで良く返ってくる。
植物にも声をかけ愛情を持って育てると答えてくれる。



これからも食べた人が笑顔になれる野菜作りを続けていきたいと話される富松さん。
気象と作物の生育の密接な関係とそれを有効に活用した農業についてのお話しを興味深く聞きました。
自然を観察することで気付くことが必ずあると言われた時、五感が弱くなっている現代の私達に必要なことだと強く感じました。


最後に、お知らせをひとつ。
4月6日(土)「さなぼり祭り」が開催されます。
会場は久留米市三潴町の「杜の蔵」で
酒粕焼酎の蒸留と堆肥作りを真近で見学できる催しです。
蔵の見学、焼酎の試飲販売、角打ちも楽しめます。

富松さんも会場にいますので、どうぞお出かけ下さい。
  


Posted by りじ at 22:18Comments(0)SF講座

2013年03月15日

◆筑後の生産者が語る「つば飛ばしぐっちょ!」Vol.3

3月1日(金)道の駅くるめ交流研修室でシリーズ3回目のつば飛ばしぐっちょ!を開催しました。

春の雨の中をお出でいただいた参加者の方たちに、道の駅くるめ内「ほとめき庵」のご飯、だご汁、切干大根の小鉢、高菜漬。「ミセスパスティ」のミートパイパスティ。「ゆたぁ~とカフェ・マイマイ」の森光牧場ジャージー牛乳ソフトクリームなどいずれも筑後の食材を使った昼食を味わってもらいました。

さて、本日のつば飛ばしぐっちょ、出演者は森光牧場の森光力さん。(有)丸富の富松利夫さん。百笑倶楽部の田中大輔さんです。
若手農業者、農業関係者3人が語る農業への思い、様々な取り組みなどをコーディネーターの田中美智子さんが聞き取ります。



ーまずは自己紹介をー

森光さん:5年前からアイスクリームの移動販売をしている。少量だがチーズも作っている。生乳生産は消費者とのコミュニケーションが出来ないのでなるべく交流できるようにしたいと思っている。

富松さん:生産者ではなく肥料の販売をしている。全国での肥料販売を通してイチゴは30年、アスパラは20年ほどかかわってきた。
生産現場を回ってみて、心の健康、体の健康、経済的な健康この3っが合わさって初めてうまくいくと思える。野菜を食べてニコッと笑顔が返ってきた時にやりがいを感じる。
また、昨年より体験農園を始めた。今年は無農薬、無化学肥料にトライしている。

田中さん:百笑クラブ主宰している。農業に就いて15年くらいで、前半は家業の植木作りをし、5年前より父親から合鴨農法での米作りを引き継いだ。久留米から福岡市内の範囲で消費者へ直接米を届けている。農業をしているとなかなか人に会えない。なるべく人に会いたいので今日はいい機会をもらった。

ー今回は若手の方に登場してもらった。祖父や父親より引き継いだ方たちだが農業にはスムーズに入られましたかー

田中さん:農業をすぐに継ぐことは考えていなかったので米へ渡った。代々続く農家の5人兄弟の長男としてのプレッシャーはあった。農学部へ入ったがスムーズに農業を始めることにはならず、近所に青年海外協力隊に行った人がいたので、普及センターに問い合わせると2年ほどのプログラムがあったので渡米した。
いろんな人の話を聞き農業は楽しいと思えてきた。自分で考え、出来たことが確かめられる。また今思うと、両親から「農業はきつい」とか「大変だ」とかいう言葉は聞いたことがなかった。



富松さん:新しいことに挑戦してきたことが良かった。曽祖父が西日本で始めてきゅうり栽培を始めたという家だったので「常に新しいことに挑む」ことは家訓として引き継いだ。今、新たに焼酎かすから肥料を作り始めている。常に新しいことに挑戦し、地域に残していけたらと思う。「農業は楽しい」ということを前向きに言いたい。

森光さん:3代目で、10年前20歳から農業に入った。両親は継いでくれとは言わなかったがその気持ちは感じていた。高校は国際クラスで英語を学び、進路を決める春休みに、日本で有数の酪農場で2年間住み込みで修行した。2年後渡米しようと思ったが家族の事業でいったん帰った。その後、農閑期に3ヶ月間カナダで牧草の栽培を学んだ。
作っている人の気持ちは必ず味に出ると思っている。牛もストレスがかからないように育てている。地域では大きい酪農場だが今までの生産は維持しつつ新しいことにチャレンジしている。生産量を減らしてでも加工に力を入れて行きたい。今、娘が二人いるがどう見られているかは気にしている。

田中美:幼い頃、梨の収穫作業の合間に皆でご飯を食べている写真や記憶があるが、それは今振り返ると幸せなことだと思える。今はそんなことが出来ない時代になっている。

ー6次化、商品化についてはー

田中さん:母親が雑穀米を栽培し始め、去年6次産業化の認定を受けた。甘酒も造っている。家族は誰も酒が飲めないので甘酒なら飲めると近くの若竹酒造、若竹醤油と提携して作っている。自宅一部に加工所を作り製造している。緑米の稲わらで注連縄作りもするが稲、米を全て捨てずに使いたいと考えるからだ。元々酒蔵の蔵人は季節労働者で、白米を作って酒を作り、4月からは田作りに戻っていた。農業のことは話のきっかけになる。農業のある暮らしの全てが話しになる。

森光さん:牛はホルスタイン、ジャージー、ブラウン、ガンジー、黒毛和牛など5~6種を飼っている。遊びに来た姪がバターは木になるというほどで「食卓と生産現場がかけ離れている」ことを危惧している。

富松さん:関東での就農希望者の勉強会に参加した時、皆があまりにも現場のことを知らないので驚いた。学びの場と生産現場が離れすぎていると感じた。それは体験農場でも感じる。この地域には素晴らしい生産者の人が多いので、生産現場と消費者をつなぎ、農と食について広げていきたい。体験することで本当に様々な発見がある。

田中さん:久留米町博で注連縄つくりと焚き火体験の受け入れをした。農家の昼ごはんを出しているが、最初はご飯と味噌汁でいいのか?と思い、あれこれ作らねばと気負ったが、参加者をとおして実はご飯と味噌汁が良い、それこそが良いのだと気付かされた。「焚き火が良かった」といわれ、空いた田んぼで子供たちを遊ばせたら、皆はしゃぎ喜んだ。それは親からするとびっくりする事の様だ。子供がはしゃぎまわるのは当たり前のことなのに。
自分の子供もむかごが分かるようになった。昔、親から手にとって教えてもらったことは良く覚えている。小さいときに実際に触れることは大事な経験だと思う。



田中美:農家はずっと当たり前のことを続けているが、情報が増え周りから変わってきている。協会を含め活性化を図れたらと思う、協会は情報をつないでいくのが使命と考る。

ー最後に一言をー

田中さん:10年後どうなるかというと確実に農家は少なくなるので、地域を守るためには農家を増やしていく必要がある。直接消費者へ届くものを作ることが大事だ。良い生産物を作る自己満足ではなく、食べる人の感覚を大事にしたい。そのためにも直接やり取りすることを続けていきたい。地域と農業を元気にするために。

富松さん:これからも新しいことにチャレンジする。生産現場を大事にし、次世代、子供たちに食の大切さを教えたい。

森光さん:自分の人生をどう楽しむかということを家族や子供にも正直に伝えていきたい。牛は自然のサイクルの中で生きている。おかれている環境を大事にすることが必要だ。
「食べること」「生きること」を皆、楽しんでほしいと思うのでメッセージを発信し続けていく。



終わりに
田中美:スローフードの言葉のみでなく、この地域に生きて、食べることを楽しんでほしいと思います。12月のテッラ・マードレで、この地域の暮らし方、生き方も含めて全国へ発信し、生産者の方とその食物をアピールしていきます。
12月のテッラ・マードレに向けてスローフード協会筑後平野は一致団結して進みます。
  


Posted by りじ at 00:26Comments(0)SF協会活動