2013年03月15日

◆筑後の生産者が語る「つば飛ばしぐっちょ!」Vol.3

3月1日(金)道の駅くるめ交流研修室でシリーズ3回目のつば飛ばしぐっちょ!を開催しました。

春の雨の中をお出でいただいた参加者の方たちに、道の駅くるめ内「ほとめき庵」のご飯、だご汁、切干大根の小鉢、高菜漬。「ミセスパスティ」のミートパイパスティ。「ゆたぁ~とカフェ・マイマイ」の森光牧場ジャージー牛乳ソフトクリームなどいずれも筑後の食材を使った昼食を味わってもらいました。

さて、本日のつば飛ばしぐっちょ、出演者は森光牧場の森光力さん。(有)丸富の富松利夫さん。百笑倶楽部の田中大輔さんです。
若手農業者、農業関係者3人が語る農業への思い、様々な取り組みなどをコーディネーターの田中美智子さんが聞き取ります。

筑後の生産者が語る「つば飛ばしぐっちょ!」Vol.3

ーまずは自己紹介をー

森光さん:5年前からアイスクリームの移動販売をしている。少量だがチーズも作っている。生乳生産は消費者とのコミュニケーションが出来ないのでなるべく交流できるようにしたいと思っている。

富松さん:生産者ではなく肥料の販売をしている。全国での肥料販売を通してイチゴは30年、アスパラは20年ほどかかわってきた。
生産現場を回ってみて、心の健康、体の健康、経済的な健康この3っが合わさって初めてうまくいくと思える。野菜を食べてニコッと笑顔が返ってきた時にやりがいを感じる。
また、昨年より体験農園を始めた。今年は無農薬、無化学肥料にトライしている。

田中さん:百笑クラブ主宰している。農業に就いて15年くらいで、前半は家業の植木作りをし、5年前より父親から合鴨農法での米作りを引き継いだ。久留米から福岡市内の範囲で消費者へ直接米を届けている。農業をしているとなかなか人に会えない。なるべく人に会いたいので今日はいい機会をもらった。

ー今回は若手の方に登場してもらった。祖父や父親より引き継いだ方たちだが農業にはスムーズに入られましたかー

田中さん:農業をすぐに継ぐことは考えていなかったので米へ渡った。代々続く農家の5人兄弟の長男としてのプレッシャーはあった。農学部へ入ったがスムーズに農業を始めることにはならず、近所に青年海外協力隊に行った人がいたので、普及センターに問い合わせると2年ほどのプログラムがあったので渡米した。
いろんな人の話を聞き農業は楽しいと思えてきた。自分で考え、出来たことが確かめられる。また今思うと、両親から「農業はきつい」とか「大変だ」とかいう言葉は聞いたことがなかった。

筑後の生産者が語る「つば飛ばしぐっちょ!」Vol.3

富松さん:新しいことに挑戦してきたことが良かった。曽祖父が西日本で始めてきゅうり栽培を始めたという家だったので「常に新しいことに挑む」ことは家訓として引き継いだ。今、新たに焼酎かすから肥料を作り始めている。常に新しいことに挑戦し、地域に残していけたらと思う。「農業は楽しい」ということを前向きに言いたい。

森光さん:3代目で、10年前20歳から農業に入った。両親は継いでくれとは言わなかったがその気持ちは感じていた。高校は国際クラスで英語を学び、進路を決める春休みに、日本で有数の酪農場で2年間住み込みで修行した。2年後渡米しようと思ったが家族の事業でいったん帰った。その後、農閑期に3ヶ月間カナダで牧草の栽培を学んだ。
作っている人の気持ちは必ず味に出ると思っている。牛もストレスがかからないように育てている。地域では大きい酪農場だが今までの生産は維持しつつ新しいことにチャレンジしている。生産量を減らしてでも加工に力を入れて行きたい。今、娘が二人いるがどう見られているかは気にしている。

田中美:幼い頃、梨の収穫作業の合間に皆でご飯を食べている写真や記憶があるが、それは今振り返ると幸せなことだと思える。今はそんなことが出来ない時代になっている。

ー6次化、商品化についてはー

田中さん:母親が雑穀米を栽培し始め、去年6次産業化の認定を受けた。甘酒も造っている。家族は誰も酒が飲めないので甘酒なら飲めると近くの若竹酒造、若竹醤油と提携して作っている。自宅一部に加工所を作り製造している。緑米の稲わらで注連縄作りもするが稲、米を全て捨てずに使いたいと考えるからだ。元々酒蔵の蔵人は季節労働者で、白米を作って酒を作り、4月からは田作りに戻っていた。農業のことは話のきっかけになる。農業のある暮らしの全てが話しになる。

森光さん:牛はホルスタイン、ジャージー、ブラウン、ガンジー、黒毛和牛など5~6種を飼っている。遊びに来た姪がバターは木になるというほどで「食卓と生産現場がかけ離れている」ことを危惧している。

富松さん:関東での就農希望者の勉強会に参加した時、皆があまりにも現場のことを知らないので驚いた。学びの場と生産現場が離れすぎていると感じた。それは体験農場でも感じる。この地域には素晴らしい生産者の人が多いので、生産現場と消費者をつなぎ、農と食について広げていきたい。体験することで本当に様々な発見がある。

田中さん:久留米町博で注連縄つくりと焚き火体験の受け入れをした。農家の昼ごはんを出しているが、最初はご飯と味噌汁でいいのか?と思い、あれこれ作らねばと気負ったが、参加者をとおして実はご飯と味噌汁が良い、それこそが良いのだと気付かされた。「焚き火が良かった」といわれ、空いた田んぼで子供たちを遊ばせたら、皆はしゃぎ喜んだ。それは親からするとびっくりする事の様だ。子供がはしゃぎまわるのは当たり前のことなのに。
自分の子供もむかごが分かるようになった。昔、親から手にとって教えてもらったことは良く覚えている。小さいときに実際に触れることは大事な経験だと思う。

筑後の生産者が語る「つば飛ばしぐっちょ!」Vol.3

田中美:農家はずっと当たり前のことを続けているが、情報が増え周りから変わってきている。協会を含め活性化を図れたらと思う、協会は情報をつないでいくのが使命と考る。

ー最後に一言をー

田中さん:10年後どうなるかというと確実に農家は少なくなるので、地域を守るためには農家を増やしていく必要がある。直接消費者へ届くものを作ることが大事だ。良い生産物を作る自己満足ではなく、食べる人の感覚を大事にしたい。そのためにも直接やり取りすることを続けていきたい。地域と農業を元気にするために。

富松さん:これからも新しいことにチャレンジする。生産現場を大事にし、次世代、子供たちに食の大切さを教えたい。

森光さん:自分の人生をどう楽しむかということを家族や子供にも正直に伝えていきたい。牛は自然のサイクルの中で生きている。おかれている環境を大事にすることが必要だ。
「食べること」「生きること」を皆、楽しんでほしいと思うのでメッセージを発信し続けていく。

筑後の生産者が語る「つば飛ばしぐっちょ!」Vol.3

終わりに
田中美:スローフードの言葉のみでなく、この地域に生きて、食べることを楽しんでほしいと思います。12月のテッラ・マードレで、この地域の暮らし方、生き方も含めて全国へ発信し、生産者の方とその食物をアピールしていきます。
12月のテッラ・マードレに向けてスローフード協会筑後平野は一致団結して進みます。



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Posted by りじ at 00:26│Comments(0)SF協会活動
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