スローフード講座Vol.12 農事気象予測と作物生育予測 

りじ

2013年03月22日 22:18

桜満開の春の筑後から今年度最終回のスローフード講座をお届けします。

農事気象と作物生育予測についてお話するのは、イチゴやアスパラを始めとする農業指導と肥料販売、植物活性剤製造をおこなっている富松利夫さんです。
富松さんは常に新しいことに取り組んでいて今は焼酎粕液を活用した肥料作りなど資源循環型社会の形成について研究中です。
農業体験農園「笑顔農園」も運営し、自然栽培を目指して取り組んでいます。



また、活動として月(自然)のリズムを取り入れた農業指導を行い、生産者の方とともに農業に関わっています。
気象、月の周期と植物の生育については密接な関係があり、新月の頃植物は成長するが病気も出やすい。海中の珊瑚の産卵は必ず満月の頃に起こることはよく知られているが、満月の頃は生殖が活発となり虫の活動も活発となる。作物の定植には向かない。
産卵が満月頃に多くなるなら虫については満月から4〜5日後に害虫防除すると効果があり、これだと1ヶ月に1回の防除でも効果は大きい。病害予防は逆に新月頃を狙うと良い。



今月27日が満月だが、満月時には放射冷却が強く起き、春の遅霜が降りやすい。古くより「花冷え」という言い方がある。1昨年は3月下旬に寒が戻り、梨の花や茶にも影響が出たことがあった。
このように月の周期は動植物の生育に影響があり、太陽や金星の動きも同じ様に様々な影響がある。この他旧暦、中国古来よりの五行(木、日、土、金、水)という見方などを合わせて天候の傾向を読み取ることが出来る。
昨年は1月〜6月まで五行の「水」が続いていたが「山の木に船をつなぐようなこととなる」という昔の言い伝えのように昨夏の豪雨となって現れた。

1月〜2月の「寒試し」により1年の天候、風、雨、気圧などの傾向もわかる。
今年もかなり気象変動が起きやすく、春やや遅く遅霜もあり、初夏までは寒さも残り台風多くゲリラ的豪雨もある。6月は太陽と金星が交差するので不安定な天候になる。野菜を作る人は夏の後半、イチゴ、トマト、ナスの定植期頃、風雨に注意が必要だ。
又、夏の作物は夏の雨の温度で水やりを行うことが大事で、気温が22〜25度なら雨水は20〜22度となるので
水やりの温度も同じ様に上げてやる必要がある。特に室内の植物にはこの注意が必要だ。

今、三日月(*3月15日の講義時)で、植物の生育が活発となり病害が発生しやすくなっている。人も同じく体調不良になりやすいので、食事や健康管理に気をつけよう。
最後にプラスのイメージを持つと物事上手くいくことが多く、これは生活や考え方全てに言えると思う。周りの人に喜ばれる様に接すれば自分にもプラスで良く返ってくる。
植物にも声をかけ愛情を持って育てると答えてくれる。



これからも食べた人が笑顔になれる野菜作りを続けていきたいと話される富松さん。
気象と作物の生育の密接な関係とそれを有効に活用した農業についてのお話しを興味深く聞きました。
自然を観察することで気付くことが必ずあると言われた時、五感が弱くなっている現代の私達に必要なことだと強く感じました。


最後に、お知らせをひとつ。
4月6日(土)「さなぼり祭り」が開催されます。
会場は久留米市三潴町の「杜の蔵」で
酒粕焼酎の蒸留と堆肥作りを真近で見学できる催しです。
蔵の見学、焼酎の試飲販売、角打ちも楽しめます。

富松さんも会場にいますので、どうぞお出かけ下さい。

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